
昔、長白山の湖に仙女が舞い降りて沐浴していると、一羽のカササギが飛来し、くわえてきた木の実を衣の上に落とした。湖から上がった仙女がその実を食べるとたちまち身ごもり、やがて生まれてきた男の子は秀でた容姿ですぐ言葉を話すことができた。愛新覚羅布庫里(ブクリ)雍順と名づけられたこの子こそ愛新覚羅氏の始祖であるという。この伝説にちなんで一族の多くがいまなお好んで「長白山人」を自称する。
中国には過去に二度満族が覇権を制した歴史がある。12世紀に興った金朝と、それから4世紀を隔てて努爾哈赤(ヌルハチ)が打ち建てた後金王朝、後の清朝である。愛新はもともと「金」を意味する満語音を漢字表記したもので、愛新覚羅は「金朝の覚羅氏」を意味し、努爾哈赤以降清朝皇統の姓とされた。清朝崩壊以後、今や一族では「金」など別の姓を名乗る者も少なくない。
「アイシンカクラ」は満語音の中国語表記を更に日本語読みにしたもので、「アイシンカクラ」・「アイシンギョロ」などいずれの読みを正とするかといった議論は無稽であろう。